今年の冬の寒さは格別。なにしろこの暖かい房総半島で11月に積雪があったのだから。
で、長年やろう、やろうと思っていた2室の床断熱工事とガラスの二重窓工事を工務店にお願いした。リフォーム専門会社だけど、店名は「リホームプラザ」。なるほどリフォームして再びホーム(リホーム)として住み心地良くしてあげましょう、という優し~いお店の企業哲学そのもののネーミングだ。
発注が年末だったので、ガラス戸の工事は暮れの内にやってもらえたが床工事は新年になった。
そのガラス戸。真空ガラスにするとかなりの価格、というので恐る恐る見積もってもらう。と、新築でゼロから作ってもらうと高額になるが、ウチの場合サッシ戸の枠がそのまま使え、ガラスだけを交換すればいい、とのこと。スペーシアという最高級クラスにしても、価格は新規に比べて半額近いという。ありがたい。清水の舞台から飛び降りる気になり居間と寝室、計16枚の交換を依頼。
当日熟練の職人さん父子が手際よく交換工事、わずか半日で終了。見た目は今までのとほとんど変わらないが結露がなくなり、外気温が下がっても室内で触るガラス面はさほど冷たくない。これならお正月休みに帰郷する子供達、孫達もかなり安心して泊まってくれるだろう。何しろ彼等は「ド寒がり」の上、都会の断熱・暖房の効いた家・マンション暮らしで、二言目には「鶴舞は寒い!」と宣うのだから。
正月が過ぎ子供・孫達が帰った翌日から早速リフォーム予定部屋の片づけ開始。暮れから始めたかったのだが、彼等がいる間はその部屋を占領しているのだから片付けもできないし、手伝ってももらえない。
一番大変だったのは(今でも継続中)「図書室」の本と本棚移動。毎日少しずつ本を移動。移動しながらついでに不要な本やジャンル毎にまとめる本など見当をつけながら移動するので、こればかりは人頼みにできない。
それにしても本ってこんなに重量があったのか。よく本の重みで家の根太が抜けた、という話を聞くが、確かにこの重さ、体積、ハンパじゃない。秋ごろから古い百科事典や子供達の教科書・受験用問題集などは処分してきたが、美しいカラー写真満載のニュートン学習百科全集を処分した時は涙が出た。断捨離、断捨離とお題目みたいに言われるが、少なくとも本の断捨離は辛い。この言葉につい踊らされて(?)今まで各家庭に眠っていた貴重な文化財や資料がポンポン処分されるのは、現代の「廃仏毀釈」じゃないかしら。途中から開き直って、ナショナルジオグラフィックのバックナンバーはそのまま残す。ついでにその他の「一般的には」処分されるべき本も救助する。
命拾い組の中には古いレコード群もある。結婚した頃夫はクライバーンの「皇帝」がお気に入りで暇さえあれば聞いていたし、私もペルーのワルツやメキシコのわらべ歌など日本ではマイナーな盤を持っているのだが、「この際エ~イ!」と処分を一大決心。がその途端、今度は夫が未練を感じ、「これは取っておこうよ」と言い出した。
アルバム類も同じサバイバル組。
幸い隣の和室は今回改造しないので、そこに山積みにしていく。本その他ガラクタ類が部屋中山積みになった頃いよいよ床下断熱工事が始まった。
(和室に積みあがった本の山)
(本移動中の夫)
助かったのは洋間の家具移動がなくなったこと。当初は元々の床板の上にもう1枚板を貼ってもらうつもりだったが、息子のアドバイスでそれはやめて代わりに床下に断熱材を貼り付けてもらう方法に変更。そうすると薄い板を貼るより厚さ5cm位の分厚い断熱材を取り付けてもらえるので断熱効果は格段にアップ。室内の家具もそのままでいいし、上に貼る木材も不要となった。
(分厚い断熱材と和室中央の穴)
いよいよ次は難工事の「図書室」の床貼り。ここの床はいわゆる縁甲板で丈夫なはずだったが、1カ所きしんだ部分があり、私が全面的に二重貼りを主張した元凶だった。当初夫は本と本棚の移動作業の大変さを見越して、「本棚は動かさず、従って本棚の下の床はリフォームせず」と言っていたのだが、どうせやってもらうなら、全面に、と私が強硬に主張。
当初からの予定通りこの縁甲板の上に檜の無垢材を貼り付けてもらう。連日少しずつその板が端からきっちり貼られていく。鈴木さんが帰った後、それを見るのが楽しみで楽しみで。貼られていくにつれて家中に真新しい檜の香が満ち、北側の暗い部屋の足元が明るく見え始める。
(少しずつ貼られてゆく床材)
(こんなに見事に貼り終わった!)
最後の工事は洋間のドアの付け替え。今までこのドア、室内に向かって開くようになっていたが、これだと開けるたびに室内の絨毯に引っかかってしまい、絨毯をめくりあげないと開かない。工務店に相談するとドア幅より廊下幅が辛うじて広いので廊下側に開閉可能、という。ラッキー! ホントはこの際引き戸にしたかったのだが、この分厚いドア材が気に入っていた夫、変更絶対NOというので、この策を採用したのだ。
(ドアが外側に開いた!)
かくて1週間に渡った「リフォーム」工事完了。期待通りの出来栄え。
でもまだ本は片付かないし、当初の夢、洋間を「音楽室」に、とするにはまだまだ前途多難。まず隣室からのピアノ移動のメドが立たない。それどころか、それが実現しないうちに、断熱ガラスに断熱床、冬の日差しが一杯当たって温室みたいになったこの部屋、夫がいち早く画材一切を持ち込んで占領してしまった。ウ~ン、音楽室以前にアトリエとなったか…
(ウ~ン やられたぁ)
しょうがない、この部屋、ピアノが入ったら音楽と美術の「アートルーム」と命名するか…
この地に住んで40余年、あと何年生きられるかわからないけど、今後も生きてる限り、この家に住んでる限り、例え明日死ぬか老人ホームに行くとしても、最後のその日まで、不便な箇所はリフォームし、快適な(リ)ホームとして暮らしたいものだ。